事業活動方針
2025年度 事業活動方針

会 長 石 黒 武
(大同特殊鋼株式会社 取締役会長)
我が国を取り巻く環境は様々な変化が同時かつ複合的に押し寄せ、先の見通せない不確実な状況にあります。とりわけ人手不足は近年深刻化しており企業は危機的な状況に直面しています。
そのような状況の中で日本がさらに発展していくためには、他国のモデルや制度を模倣するのではなく、日本企業の強みである高い技術力をしっかりと見極め、それを基に成長戦略を再構築し、生産性(産出/投入)を向上させていく必要があります。そのためには、分母を小さくする不断の改善による生産性向上と、分子である付加価値を増やす生産性向上の両輪を着実に回していくことが重要です。
この生産性向上を推進する源泉は人であります。そのためには企業は人への投資を積極的に続け、失敗を恐れず、挑戦をし続けていく風土醸成や、国籍、性別、年代を問わない多様な人材の活躍と、その育成が強く求められています。また、組織の垣根を越えて共創をしていくことで、既存の枠組みだけではない、新たな発想を取り入れていくことが求められています。
そして得られた付加価値を従業員、顧客、取引先、地域社会といったステークホルダーに適正に配分し、継続的な賃上げ、価格転嫁を実現することが重要であり、さらにはサプライチェーンを支える中堅中小企業に波及させることで、日本の持続的な経済成長が実現できるといえます。
中部生産性本部では、当地域の産業の特色を踏まえ、生産性運動の三原則「雇用の維持拡大」、「労使の協力と協議」、「成果の公正配分」を前提とし、労使学の叡智を結集し、当地域の経済の発展に資する活動を積極的に展開してまいります。
以上の認識を踏まえ、当本部は本年度事業活動の重点実施事項として、次の項目に取り組みます。
1.日本の強みを活かし、持続的成長を実現させる経営のイノベーション
■日本の持つ強みを再認識し、環境変化に対応した臨機応変な成長戦略の実現
■ミッション、ビジョン、バリューを明確にし、労使が一丸となった組織の成長と目標達成
■持続的な改善に加え、イノベーションを生み出す組織風土の醸成
■企業の持続的成長に向けGXやDX、学術機関との連携による諸課題解決
2.多様な人材が活躍し、一人ひとりが成長を実感できる仕組みづくり
■挑戦の支援、働きやすい環境、制度の設計による、一人ひとりのエンゲージメントを向上
■心と体の健康、人とのつながりを高めるため、労使一体となったウェルビーイングの向上
■将来のキャリア形成を見据えた自律的な人材となるためのサポート
■異なる様々な組織が交わり、繋がることによる会員組織のネットワークを強化
3.サービス産業、中堅中小企業、管理間接部門等の生産性向上
■10年先も飛躍する組織を目指し、中堅中小企業経営者の育成と技術革新をサポート
■サプライチェーンを支える中堅中小企業の高付加価値化と省人化・省力化の両立のサポート
■管理間接部門担当者同士の意見・情報交換による新たな視点の発見、気づきの場の提供
4.世界の持続的成長を踏まえた日本企業のグローバル対応
■海外のDXやGXなど世界の経済モデルの転換の現状を探り、日本の進むべき道を考える
■発展著しい途上国の成長過程を肌で感じ、日本の今後の成長の在り方を模索する。
■海外現地視察を通じて、持続可能な発展に向けた成長戦略を学ぶ
5.働く環境、価値観が変化していく中での労働組合活動の支援
■経営のカウンターパートとして、労働組合の提言機能を高めるための活動を支援
■労働組合に求められることが変化していく中で、時代に合った労働組合活動の模索
■組合員にとって魅力的な活動を通じた労働組合の求心力の向上
■産別を越えた労働組合のネットワーク強化