大野耐一語録
大野耐一(中部IE協会3代目会長 1970年~1990年) | |
(1) | 百聞は一見にしかず、百見は一行(行動)にしかず |
(2) | すべての判断は「実際に原価が安くなるか」「実際に業績に結びつくか」 でなされなければならない |
(3) | 低成長期において造りすぎは罪悪である |
(4) | 造りすぎのムダ 余力がある作業者若しくはラインは放っておくと必ず前へ進む。これをするとムダがかくれてしまう。即ち、造りすぎるということは作業員の多過ぎ、材料動力費の副資材などの先喰い、作業員への先払い、仕掛品、製品の金利負担と整理整頓、倉庫面積、部品運搬費等計り知れないムダが発生する。 |
(5) | 個々の能率より全体の能率を考えよ |
(6) | 止まらないラインは素晴らしく良いか、よほど悪いかのどちらかである |
(7) | 少人化 省人化をめざして自動化をしてきたが、減産になったとき減った分に比例して人が抜けない。これは自動化が定員制になっているからである。安定成長の時代にはこの定員制を打破し、台数に応じて何人ででも生産できるラインにつくり上げるよう知恵をしぼっていく必要がある。これができれば7割の人しかいなくても7割の台数はやれるようになる。 |
(8) | 予防保全 機械は壊れるのではなく、壊すことの方が多い。 |
(9) | 動くと働く よく動いても働いたことにはならない。働くとは工程が進み、仕事ができあがることで、ムダが少なく効率が高いことである。管理監督者は部下の動きを働きに変える努力をしなくてはいけない。 |
(10) | 目で見る管理 誰でも一見して判る作業場にせねばならない。品質でいえば不良を表面化し、量でいえば計画に対し、進んでいるのか、遅れているのか見てすぐ判るようにしておくこと。こうしておけば、問題もすぐ判り皆が改善案を考えつく。 |
(11) | 相互助け合い(水泳と陸上のリレー) 水泳のリレーの場合、速い人も遅い人も一定距離を受持つが、陸上リレーの場合、バトンタッチゾーンで速い人は遅い人のカバーが可能である。ライン作業に於いても陸上のリレー方式でなければならない。監督者はラインの能率向上のためにバトンタッチゾーンを作っておくことが大切である。 |
(12) | 教育と訓練 教育は知らないことを教えることで、知っていることを繰り返し練習して体で覚えることは訓練である。教育だけで訓練を忘れてはものにならない。 |
(13) | 作業者に仕事を教えるときは、わかったと聞いてはいけない。 わかったとわかるまで教えること。 |
(14) | 術には行動が必要 「術」という字は「行」の中に「求」が入っており、行動が要求されている。技術者は実際にやることが一番大事なことである。 |
(15) | チェックとは反省である 目標を達成出来なかった時の原因は誰でも追求するが、達成した時の反省は殆どしない。何故達成出来たかを突込んで調べて活用することが大切だ。 |
(16) | Man Hour と Man Power Man Hour(工数)の計算は出来るが、その結果「人不足だ」「やれない」と判断するのはいけない。Man Powerは決しておし計れるものではない。知恵を出すことによって、能力は無限に拡大される。 |
(17) | 作業改善から設備改善へ 作業改善は現有の設備で一番良いやり方を考えるということである。先ず、道具(設備)を作るのではなく、仕事のやり方を考える事が重要である。 |
(18) | 言訳をする頭で実行することを考えよ |
(19) | 作業をしている人が喜ぶような改善でないと、本当の改善ではない |
(20) | 改善というものはキリがないものである。 何かやれば、必ず次の改善の芽が出ているものである |
かくすれば、かくなるものと分かりなば、やむにやまれぬ改善魂 |